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2008年8月

処理手順と記憶

 さらに教室のシミュレーションを続けます。次の式を解いてください。

 

Sigma5

 

 これは高校数学の問題です。高校進学率がほぼ100%に達した日本ですが、みなさまにおかれましては無事解けましたでしょうか。数学で教わった記憶のない方でも、表計算ソフトをお使いの方はしょっちゅう目にしている記号だと思うのですが。

 

 実はこれ、次のように解きます。

 

Sigma5=1+2+3+4+5

 

 では、次の答えは、、、

 

Sigma6

 

 最初の「シグマ5」は解けなかったのに、今度の「シグマ6」は解けましたよね。何故でしょう。

 

 

 

 解き方を教えてもらったのだから当然だ、、、その通りですね。

 

 このことをコンピュータ的に解釈しますと、計算手順を入力すれば(わかれば)計算できる、手順が記憶になければ計算できない、となります。言われてみればあたりまえですね。

 

 最初にみなさんに解いていただいた足し算や掛け算は、幼い頃から計算方法を知って日常生活で使用しているため、教えてもらった手順通りに計算しているという認識がないだけなのです。

 

 さて、ここまでのことをまとめます。
「問題を正確に入力した上でその内容を正しく記憶し、あらかじめ記憶してある計算手順に従って、その計算過程をすべて記憶していかないと計算できない」となります。

 

 ここで定義した「あらかじめ記憶してある計算手順」が重要です。コンピュータの世界ではこれを「プログラム」と呼んでいます。 コンサートやイベントのプログラムと同じです。まず何をやって、次に何をするか、、、その連続です。 あらかじめ設定した手順というほどの意味です。たった今みなさんは、∑つまり総和を求めるプログラムをみなさんの頭脳に記憶したのです。

 

 一方、「正確に入力した上でその内容を正しく記憶し」た数値などは「データ」と解釈できます。つまりコンピュータを使って計算するには、データとプログラムが必要です。データを入力しなければ計算できないように、プログラムも入力しなければ実行できません。また、プログラムはもっと広い概念でとらえて「ソフトウェア」とも呼ばれます。

 

 コンピュータの登場以来、ソフトがなければただの箱などと言われてきたものですが、ソフトウェアとは計算手順、ちょっと広い意味で情報の処理手順というほどの意味なのです。

 

 ところで、データとプログラムの2つはどこにあるのでしょうか。なんとなくわかってきたと思われますが、実はメモリの中にあります。コンピュータのメモリは漢字で表現すると記憶装置です。そこにはプログラムとデータが記憶されています。繰り返しますが、コンピュータの記憶装置には、プログラムとデータが記憶されています。

 

 CPUとメモリ、プログラムとデータの関係を図示すると次のようになります。下の四角がメモリ(主記憶)で、その一部をプログラムとデータが占めています。

 

Cpupd

 

 

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コンピュータ処理と記憶

 ではコンピュータとは何かの解を探るために、コンピュータの計算過程をシミュレーションしてみましょう

 学校の教室を想像してください。
 講師が前に立ち、30人くらいの受講者が席を並べているとします。その講師が私、30人の受講者の1人がみなさんという想定です。

 コンピュータが得意とする計算を少々やってみましょう。このシミュレーションではみなさんの頭脳が狭義のコンピュータ、つまりCPUとメモリです。

「5たす3は?」

 CPUとメモリの代わりにみなさんの頭脳を使って、即座に解答が出たと思います。そして、それはまちがいなく正解でしょう。

 では、次はいかがでしょう。

「・・たす6は?」

 「・・」の部分は、みなさんの前にいる私が、小さな声でゴニョゴニョと言ったとか、黒板に読めないくらいの小さな字で書いたとしてください。

 問題をちゃんと出さければ解答できるわけがない、早く問題を出せとみなさんはお思いでしょう。(それより、くだらんことをしてないで早く本論に入れとお怒りでしょうか。すぐに本題に入りますからご辛抱を)

 これをコンピュータ的に解釈しますと、「問題の入力(input、インプット)が正しくなされてないのでコンピュータは計算できない」となります。

 厳格な石頭のコンピュータという機械に計算してもらおうとするなら、問題(今の場合数)を正確に入力する必要があるとご理解ください。

 現在のパソコンにおいては、入力装置の主流は、マウスとキーボードです。請求書の紙をパソコンの前に差し出しただけでは希望する計算をしてもらえないのは、紙の表面に書かれた数から意味のあるものを選りわけコンピュータ内部に入力する術がないからです。

 1980年代初頭、煩わしい事務処理に時間をとられていたある小規模スーパーの店長から、こんなことを言われたことがありました。「この紙(請求書)の束を差し出すだけで計算してくれるなら、コンピュータを導入してやってもいいよ。」
 
 どんな問題であれ処理であれ、マウスやキーボード他の入力装置を介して使用中のコンピュータのルールに従い正しく入力しなければ始まりません。このことをまずはっきり認識していただきました。

 ちなみに21世紀初頭の現代のスーパーでは、POS(ポス)システムにより、販売時点で商品名や価格をコンピュータに入力してしまい、紙の束を読み取るより、紙自体を減らす方向で処理が進められています。おそらくご存じとは思いますが。

 話を戻して、では次の問題はいかがでしょう。
 やはり30人の受講者を前に私が口頭で問題を読み上げたと想定してください。

 「ごひゃくはちじゅうさんまんにせんよんひゃくきゅうじゅうご(5,832,495)たすじゅうはちまんごせんにひゃくごじゅうよん(185,254)は?」

 通常の普及版電卓は8桁ありますので、コンピュータを使うまでもなく電卓を使うだけで誰でも余裕で計算できる問題でしょう。数を聞きとりながら即計算。で、コンピュータの代わりを務めていただいているみなさんの頭脳ではいかがでしたか。

 できない人が大多数でしょう。
 何故これが計算できないのでしょう。聞いた時点で数字の入力はおそらくできたでしょうが、すべての位の計算をし全桁の答えを求めるまでの間、すべての数を記憶し続けることができなかったということのようです。7桁と6桁の数字を一度聞いただけでしっかり記憶できる人ならばおそらく解ける問題です。

 ここでわかったことは「正確に入力した上でその内容を正しく記憶」しておかないと計算できないということです。

 さらにもう1問続けます。

「584かける915は?」

 さてこれまた特別に訓練された方は別ですが、普通の人は暗算では解けません。何故でしょう。
 3桁の数字2個、計6桁の数ですから入力と記憶は問題なくできたと思います。それでも計算できない。

 理由をコンピュータ的に解釈するならば、計算過程で発生した数字をすべて記憶しておくことができないから、最終結果を計算できない、となります。

 でも現実には紙に書いて計算するとできますよね。これも重要なポイントです。ご自分の脳だけでは記憶しきれないものは、紙に書く、つまり別のところに記憶すればよいわけです。みなさん小学校のときからそういう訓練を受けてきています。暗算でできなかったら筆算で解け、と。

 これをコンピュータ的に解釈すれば、記憶装置からあふれた情報は別のところに記憶する、となります。この別の記憶するところを「外部記憶」とか「補助記憶」とよびます。
外部記憶とか補助記憶に対し、みなさまの頭脳のように通常使う記憶の中心部分は「主記憶」と呼びます。カタカナ語では「メインメモリ」です。

 ここまでのことをまとめますと、
「正確に入力した上でその内容を正しく記憶し、さらにその計算過程をすべて記憶しないと計算できない」となります。

 さてこまかく計算の過程を考察してきましたが、実はここまでは計算のことにはふれずに数の記憶の問題だけをとりあげてきました。ここからいよいよコンピュータの本領発揮、計算の本質にせまります。

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素朴な疑問から

 ものごとを解き明かすにはスタートラインが必要です。電脳の扉のスタートは素朴な次の質問にこたえることから始めます。
「コンピュータとは何か?」
きわめて実用的な答えの1つをご紹介します。
「人間が作り出した道具の1種です。ただ、一般の道具と違うのは、腕や足、目や耳を補助する道具ではなく、ヒト様の脳を補助する道具です。」

 実はこの答えは私が大学を卒業し情報処理の会社で勤めはじめたとき、当時の上司に教えられたものでした。1980年代はじめのことです。パソコンの普及もこれからという時期で、汎用機と呼ばれる大型コンピュータにCOBOL(コボル)と呼ばれるプログラム言語で事務計算処理を開発することが全盛の時代でした。
 これまで、人類の英知で作り上げられてきた数々の道具。巨大なものから目に見えないくらいのものまで、時間の節約やパワーアップ、温度や湿度の制御など生活を便利に豊かにする道具は無数にあります。コンピュータがその1つであることに異論はないでしょう。ただそれが頭脳の一部代替や補助となりますと、目で見て指で触れる道具と違って、少々神秘的な要素をもつようになります。頭脳の動きがきちんと認識されていないからでしょう。常識とか、当然だとか、それはそういうものだと、疑いをもたれることなく、だれもが漠然ととらえているからだと思われます。

 ということで、コンピュータとは何かという疑問に正面からこたえる試みは、脳の動きを認識しようとする試みに変わります。といっても、コンピュータ理解に必要な最小限のそのまた一面だけをとりあげますので、アカデミックな難しいことばも概念も出てきません。ご心配なく。

 具体的説明に入る前にもうひとつ、コンピュータの教科書的定義をご紹介します。情報処理(コンピュータ)専門学校などでは、「コンピュータは、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置の5大要素を備えた機械」と定義しています。

 入力装置にはマウスやキーボード、テンキーなどがあり、一部にはスキャナーやデジタルカメラ、描画タブレットなどを含めて構成することもあります。

 記憶装置は文字通り、情報を記憶しておく装置です。実はデジタル時代の現代、多種多様な情報を多種多様な外観を持ち呼び名も異なる装置に記憶するようになりまして、混沌とした様相になっています。

 出力装置は画面やプリンタのことで結果を人間に知らせる役割を持ちます。

 演算装置は日常生活でおなじみの加減乗除(四則演算)を含めた計算を担う装置とお考えください。演算という語に通常の計算以上のさらに広い情報処理を担う意味合いが含まれています。

 最後の制御装置の説明はもうちょっと内部の動きを把握しないとかえって難しくなりますので、後まわしにさせていただきます。

 ここでさらにシンプルな「CPU」と「メモリ」のみから構成されているコンピュータをとりあげます。イメージをはっきりさせるためです。一般のコンピュータと区別するなら「狭義のコンピュータ」といったものです。 Cpuram Cpuchip

パソコンのCPUとメモリの写真

実際には、こんな無機質な部品です。

 CPUとは演算装置と制御装置をひとまとめにした装置で、Central Processing Unit(中央演算装置、中央処理装置)の略です。実際、パソコンショップで売られているCPUはそれ自体で1部品の形をしており、黒い樹脂の中に制御装置と演算装置のはいった金属片として存在しています。黒いダイと呼ばれる保護樹脂や冷却(放熱)装置の方が存在感がありますので、デスクトップパソコンのCPUを見た方は、冷却装置をCPUと誤解する方も多いようです。

 一方、記憶装置もパソコンの場合、メモリとかRAM(ラム)と呼ばれ、容量別に1枚いくらといった単位で売られています。内部に情報を記憶する部品なのですが、どのような情報をどのような形で記憶しているかを知ることが、コンピュータの動きを理解するためには重要になります。

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はじめに

 1995年頃のことです。「わが社の社長はコンピュータがわかる人です」と、ある会社の部長氏が会議の席で言われました。コンピュータ関連の会社の方ではありませんし、部長ご自身はワープロにもさわったこともないような方でした。

 当時コンピュータ専門学校でパソコンを使って、COBOLやC言語を教えていた私をはじめとする居合わせた同僚は、その言葉を聞いて首をかしげたものです。「どのレベルの何をさしてわかると言っているのだろう、、、」。いくつか尋ねてみまして、どうやらパソコンを自ら使用してワープロ文書を書いて印刷できるようになったという意味らしいとわかりました。当時はまだワープロ専用機がかなりの程度幅を利かせていた時代で、その中にあってパソコンを使用してワープロ専用機並みのことができる社長を、コンピュータ専門学校の講師陣に自慢したかったようです。

 おそらくくだんの社長ご自身が自ら発言したとすれば、「パソコンはなかなか難しいですねえ、いくらやってもわかりません。」というようなことを言われたでしょう。たとえパソコンで文書作成と印刷ができたとしても、謙遜でも何でもなく、正直な気持ちとして。

 プリンターを変更する、写真を載せるためにスキャナーをつないて使いこなす、故障に備えてバックアップをとる、、、インターネットの普及してない時代ですから、やっていたとしてもパソコン通信程度なのですが、それは何を使ってどう操作すればいいの?そもそもどこに申し込めばいいの? 表計算って何? パソコンで絵を描けるらしいけど、、、ワープロ機能の一部をマスターした社長は、おそらくこんな疑問がとめどもなくわいてきていたことでしょう。パソコンを理解しようということは、一面、常にこのようなものでした。昔も今も。

 パソコンはコンピュータの1種です。中くらいのビルをかなりの程度占有してしまう何億円もする大型の汎用コンピュータから、高さ180cm程度の冷蔵庫くらいのコンピュータ、事務机1つ分くらいのワークステーションと呼ばれるタイプのコンピュータ、電子レンジや自動洗濯機に組み込まれたマイコン等、大きさも呼び方も異なるさまざまなコンピュータが世の中に存在し、そのおかげで私たちは通信環境や家電製品の自動処理環境を享受できています。

 その多種多様なコンピュータの中のたった1種類のパソコンをとっても、手の平サイズから、B5、A4ノート、省スペースデスクトップ、デスクサイドサイズまで形も大きさも千差万別です。おそらく使用環境も用途も驚くほど違うでしょう。何を接続し、どんな環境で、どう使っているか、、、

 そんな現代において、ここでは、現在一番普及していると思われるWindowsパソコンをとりあげて「人体の不思議」ならぬ「電脳の不思議」を順次解明してゆきます。日々仕事や趣味で使っている方も、ちょっとだけ操作経験のある方も、これから触ってみようという方も、目の前のパソコンというものの内部で何がどう動いているのか、知る意味のある疑問にお応えしたいと思います。最初こそ何でと違和感を覚えつつ、いつのまにか疑問ももたなくなってしまった動作や不可解な動きはこんな理由によるものだったのかと納得していただけることを期待して書き進めてまいります。

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