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現代の義務教育のあり方

 ここで少々僭越ながら、教育というものを根本から考えてみましょう。このような命題をあなたはどう考えますか。

・未来に生きる子ども達に、今最良の義務教育とは?

 現在行われている義務教育は、未来に生きる子ども達の役にたつものなのでしょうか。早急に改善・改革しなければならないことは何なのでしょう。

 私自身は、大学生になって最初にやったアルバイトが塾講師でした。以来、教育というものに相応の問題意識をもって生きてきました。途中から本業にもなりましたし、それでなくともアルバイトのような形で教える機会があったためです。1970年代後半は、日本のトップ大学をめざすエリート教育の是非と功罪が問われていました。1980年には、金属バット殺人事件のような教育をめぐる凄惨な事件も起きました。以来、いろいろな問題・課題を抱えつつ、今日に至っています。

 若かったころ塾講師を始めて、塾に子どもを預ける保護者の姿勢に問題あり、まずは親の教育から必要と考えたり、たくましい子どもたちのエネルギーに触れて、日本の未来は安泰だと、妙に安心したり。

 学業を終えてからは、10年近く首都圏の情報処理業界で仕事をし、その間、家庭を持ち息子も生まれて、その息子が小学生になったときです。子どもの学習プリントを見て、驚きました。わずかに覚えている自分の小学校時代の学習内容とあまり変わらなかったのです。

 コンピュータ専門学校に転職して後、高校卒業生にプログラミングや情報処理に関連する各種の科目を教えました。仕事の合間に、中学生の勉強支援を頼まれたりもしました。

 いろいろな教える経験と、若者にそれを伝える試行錯誤を経て、時が経ってもあまり変わらない義務教育は、このままでよいと考えるようになりました。英会話やパソコン操作技術、AIとかは、やりたい子、興味をもった子がやればよいというくらいの認識です。もっと言えば、子ども達には英語やプログラミングの前に、日本語と読書と算数・数学です。

 戦後75年、グローバル化が進み、AIやIoTの時代にもなって、義務教育の内容はあまり変化なし。それでよし、です。結局基礎学力というものは、半世紀程度ではそれほど変わらないものなのだという認識です。

 一方で、中学生の国語教科書をあらためて読んで、その密度の濃さには驚かされました。優に現在のビジネスマン向けノウハウ本にして3冊くらいの内容が詰まっているように感じました。単なる論評、報告書、小説だけではなく、プレゼンテーションやコミュニケーション技術に至るまで、もりだくさんの内容に圧倒されました。ビジネスの第一線に立っている大人が読んでも、納得できる内容だと思いました。

 数学が不得意な子どももいれば、社会科が苦手という子どももいるでしょう。体育が苦手な子どもも、家庭科なんてやってられないという子どももいるかもしれません。それでも、義務教育としては、今の教科全てを学んでもらうのが、日本の教育のスタンスです。高校以上でようやく選択科目が出てきます。それはそれで当然です。就職すれば、ほとんどの人がひとつの専門分野に専念します。

 だからこそ、義務教育では全教科をひととおり学ぶことにしたいのです。中学校までの学習内容については、押し付けでも、強制でも、学んで損なことはありません。それが日本の教育のスタンスでありレベルなのです。

 現代の中学高校の生徒を総体としてみたとき、読書等の文字を通じて得られるはずの感性は全般としては貧弱になり、歌って踊るパフォーマンス分野の能力は著しく向上したように思います。一部の環境や才能に恵まれた子どもたちは、50年前より洗練された感性をもっているということは言えるでしょうが。

 私が義務教育を受けた時代から約半世紀、内容に変化はなくとも、子どもと保護者をとりまく周辺環境は激変した感があります。ネットとICT機器を駆使した保護者相互間のコミュニケーションや学校との連絡網。webによる学校情報の伝達配布。最新のオリジナル文献にもすぐにアクセスできる手軽さ。教師のスキルに対する疑念をお持ちの方もいれば、モンスターペアレントの出現に悩む学校側の悩みもあるでしょう。

 変わる周辺環境と変わらない、教科内容。ここに、内容は変わらずとも、それを扱い応用する面での違いが、未来に生きる子どもに、何か、今は見えない大きな可能性と、裏腹の大きな問題を孕んでいるように思えてなりません。

 

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